4日で四国1周1000km その3
リアディレーラーのステーが折れて走れなくなってしまいました。
どうする? どうするもこうするもありません。
壊れたバイクを修理して四国1周を続けることしか頭にありませんでした。
すぐにスマホを出して、ロードバイクを扱っているショップを探そうとしました。
バッテリー温存のために、使わない時は電源を切っていたので、立ち上がるまでの時間がもどかしい。
やっと立ち上がったと思ったら、圏外でした(>_<)。
くそ~、AUはホンマに役立たずやなー。
山に登った時でも、ドコモの人が大声で通話している横で、AUは圏外なんてことはしょっちゅうです。
とにかく、こんな民家の1軒も無い峠の途中ではどうにもならん。
街まで行かなくては!
こういう時に早いのはヒッチハイクです(^^ゞ。
田舎だから軽トラ率が高いので、青空号も積んでもらえます。
たまに高速道路のインターチェンジの入り口付近で、行きたい場所を書いた紙を持って立っている人を見かけますが、あんなやり方でヒッチハイクが成功するとはとても思えません。
よほどの美人女性か、男ならオカマに好かれそうなタイプでないと、誰も止まってくれないのではないかと思うんです。
ボクが長年の経験から会得した必殺技をこっそり伝授いたしましょう!
<基本編>
赤信号で止まっているクルマを狙うのです。
走っているクルマはなかなか止まってくれません。
高級車はだめです。
一番いいのは軽自動車、できればちょっと凹んでいるぐらいのボロの古いクルマで、気の良さそうなおじさんかじいさんが運転しているのがベストです。
切羽詰まった顔で手を振りながら近づき、助手席のドアを開けようとしてください。
たいていの人が反射的にドアロックを開けるか、窓を開けて話を聞こうとしてくれるはずです。
ボロで古いクルマならドアロックしていないことも多いです。
「すみません、ちょっと途中まで乗せていただけませんか」
と言いながらさっさと乗り込んじゃえばこっちのモノです(^^ゞ。
その状況で
「ダメだ、降りてくれ」
なんて言う人はまずいません。
しかし、今回は信号も交差点もない峠の一本道です。
こういう場合はどうすればいいのでしょう。
<中級編>
狙うクルマは基本編と同じです。
ボクだけじゃなく、青空号も運んでもらう必要があるので、軽トラックに絞ってアタックします。
青いサングラスは、怪しい人に見えるので外しました。
怪しい者ではありませんよ!ということをアピールしたいがためにあまりにもニコニコ笑顔でいると、困った感じが伝わらないので逆効果になることが多いです。
やっぱり、真剣に「困ってるんです!」という表情の方が成功率が高いでしょう。
やり方は簡単です。
道路を塞ぐぐらいに車線の中央ぐらいまで身を乗り出して、大袈裟に手を振るだけです。
子供がバイバイするような手の振り方では誰も止まってくれません。
意を決して大きく手を振るのです。
ほーら、4,5台目ぐらいで軽ワゴン車が止まってくれましたよ!
ちょっと古めのホンダの軽ワゴン車で、70歳台と思われる優しそうなおじさんでした。
ドンピシャ!ではないですか。
街まで乗せてもらうことになりました。
乗せていただいた者の礼儀として、必ずしなければならないことがあります。
それはその町を褒めることです。
海でも山でも川でも食べ物でも何でもいいので、
「いやあ、ここはいい所ですよね~、海は綺麗だし魚は美味しいし。あっちこっち行きましたが、ここは本当にいい所ですね~。」
と言われて悪い気がする人はいないはずです。
(運転手さんが地元の方とは限りませんけどね)
(運転手さんが他所の町の方なら、知っている限りの知識を総動員してその町を褒めるんです)
間違っても
「便所が和式ばかりで尻が痛くて困りましたよ~。」
などと言ってはイケマセン(^^ゞ。
ところがね、このおじさんの言ってることがよくわからないんですよ。
方言がひどくて理解できないお年寄りもいますが、そうじゃなくて発音が不明瞭なんですね。
窓を開けて走っていたので、風の音も邪魔になってよく聞き取れません。
「おじさんはどこへ行かれるんですか?」
「ふごふごふごふご。」
「・・・・・・・・?」
「わざわざ遠回りしていただかなくても、おじさんが行かれる途中で降ろしてもらったらいいですよ。電話が通じる所まで行けばタクシーを呼びますから。」
「ふがふがふがふが。」
「・・・・・・・・?」
う~む、言ってることの2割ぐらいしか理解できないぞ。
こういうこともたまにはあります。
こういう場合は、質問の仕方を変えます。
YesかNoで応えられるように聞けばいいのです。
「おじさんは須崎の方ですか?」
「ふがふが。」
頷いているのでYesです。
「町の方に行ってくださっているんですか?」
「ふごふご。」
Yesです。
「そこに駅はありますか?」
「ほごほご。」
Yes。
ほーら、段々と会話が成り立ってきましたよ。
どうやら、おじさんが知っている自転車屋さんがあって、そこに向かってくれているようでした。
普通の自転車屋さんでは修理は無理(パーツがない)だろうと思いましたが、とりあえずは一歩前進です。
15分か20分ほどで自転車屋さんに着いて、おじさんにお礼を言いつつ少ないですけどと1000円札を渡そうとしたら、受け取らずに慌てて行ってしまわれました。
受け取る方は普通はいませんね。
おじさん、このブログを見ることはおそらくない(絶対ない)と思いますが、ありがとうございました。
『情けは人のためならず』と言いますからね、おじさんに掛けていただいた『情け』は別の誰かに掛けることでお礼に変えさせてもらいますね。
自転車屋のおじさん(ボクも立派なおじさんなんですけどね)に事情を話したら、高知まで行かないとロードバイクを扱っている店はないということでした。
まあ、そうやろなぁ。
タウンページを出してきて、おじさんが知っている2軒のお店の電話番号を調べてくれました。
久しぶりにタウンページを見たな。
2軒のうち、広告に載っていた取扱い車種の中にピナレロがあった円行寺口駅近くの『城北サイクル』さんに電話してみました。
「Rディレーラーのステーが折れて困っています。パーツはありますか?」
「何年式ですか?」
「2011年に買ったピナレロのクワトロです。」
「パーツはないねぇ。」
が~ん(>_<)。
だけど、まだ可能性はあります。
これで諦めるわけにはいきません。
「他のバイクからとれませんか?」
「お急ぎなんですか?」
「4日で四国1周している最中なんです。」
「・・・・・・・・それじゃあ、完成車から外しましょう。だけど、ステーの交換だけでは済まないかもしれませんからね。」
「ありがとうございます。すぐそちらへ向かいます。」
良かった!どうやらまた走れそうだ。
ステーが折れてしまったことは残念なことですが、ものすごく幸運だったと思うんです。
もし、登坂中の高トルクが掛っている時に折れていたら、チェーンが切れたりスプロケの歯が欠けたり、最悪フレームが損傷していたかもしれないし、ダウンヒル中に折れていたらチェーンを噛みこんで後輪がロックして派手に転倒していたかもしれません。
手でそっと押しただけで折れたぐらいですから、走行中に折れるのも時間の問題だったのではないかと思うんです。
どこにも余計なダメージを与えることなく、ステーが折れただけで済んだというのは、本当にラッキーだったなぁと思います。
自転車屋のおじさんにお礼を言って、歩いて1分ほどの土讃線の大間駅まで歩きました。
駅舎の無いかわいい無人駅でした。
ステーが折れたのは、ちょうどパンを食べて休憩していた時に正午のサイレンを聞いたちょっと後だったから、12時半ごろだったと思います。
大間駅に着いたのが13時ごろですから、ここまではとても速かったですね。
次の高知行きまでには50分ぐらいありました。
待ち時間の間に腹ごしらえしておこうと思い、輪行バッグを被せた青空号をホームに置いて、ぶらっと歩いてみたら、すぐ近くにうどんの『得得』がありました。
岡山で学生だった頃はよく食べたお店です。
味は『優』『良』『可』で言えば『可』ですが、1玉でも2玉でも3玉でも値段が同じなので、お腹一杯うどんが食べたい時にはいい店です。
一番安いわかめうどんのトリプル(3玉)を食べました。
ここの3玉は正味3玉で、丸亀製麺の『小』と大差ないような『大』とは違います。
どんぶりがでかい!
各駅停車のディーゼル機関車にゴトゴト揺られながら走ること17駅、高知駅の二つ手前の円行寺口駅に着きました。
折れたステーです。
金属疲労でしょうねぇ。
ドナーになってくれた黒のピナレロクワトロ。
ステー以外には問題なかったようで、ステーを交換してちょっと調整してもらったら、また走れるようになりました。
よっしゃ!
これでシコイチが続けられるぞ!
城北サイクルの店長さんありがとうございました。
お陰で四国1周を続けることができました。
ヒッチハイクで移動した距離を改めて自走するために、円行寺駅から大間駅の二つ手前の吾桑(あそう)駅まで戻ることにしました。
地図を見たら、、二駅分ぐらいがちょうどだったからです。
円行寺口駅で待ち時間があったので、汽車で移動中に腹ごしらえしようと思って、すぐ近くのスーパーで牛乳とバナナとパンを買いました。
遅れた分を取り戻すために、今夜は暗くなっても走らなければ。
そのためにはしっかり食べておかなければいけません。
山間の吾桑駅を再出発したのが17時13分ぐらいでした。
約5時間の空白ができてしまった。
5時間あれば100kmは走れたのにと思っても仕方ないこと。
走れるようになったことに感謝しなければ。
まだ2日とちょっと残っているから、5時間分ぐらいすぐ取り戻せるさ。
8時過ぎぐらいに黒潮町の道の駅「ビオスおおがた」に着きました。
ここまでの走行距離は約420km(兵庫県内での移動距離が約7kmあるので)。
アベレージは少し落ちました。
2日で500km走る予定だったのが、トラブルのせいで80kmぐらい少なくなっちゃいました。
まあ、それぐらいなんとかなると甘く考えていたんですよね~その時は・・・・。
ここに、3人の中学生がいました。
ジャニーズの若手が写真撮影に来るそうで、見に来たけど場所が違ったようだと話してくれました。
どこでテントを張ろうかと思案していたら、すぐ近くに無料のキャンプ場があって、その横を通るから案内してあげると言ってくれました。
林の中のキャンプ場はいいけど、トイレはクモだらけじゃないかなぁと思ってできれば道の駅の隅っこで寝たかったんだけど、断るのも申し訳なくてキャンプ場に行ってみました。
波の音が聞こえてくるいい雰囲気のキャンプ場でした。
木があったので、ツェルトを張るのに2分とかかりませんでした。
翌朝、トイレに行ったらやっぱりクモだらけで、巣を作っているクモはまだいいんだけど、大人の手のひらぐらいありそうな大きなアシダカグモが壁に見えるだけでも2匹もいて、とてもじゃないけどそんなトイレには入れません。
南国なので、クモもでかいんですよ。
加古川じゃあ絶滅したような大きなクモがたくさんいるんです。
巣を作っているクモも加古川より2回りぐらいでかいし、生えている植物もなんとなく亜熱帯っぽかったです。
中年になると肛門括約筋が衰えてきて、若い時のように我慢できなくなってくるんです。
もうパンツに付きそうになるぐらいに出かかっているのを必死に我慢して、大急ぎでテントと荷物を撤収して道の駅まで移動しました。
ここのトイレはシャワートイレじゃなかったけど、洋式でした。
なんとか間に合いました(^^)v。
ステー交換後に走ったルートです。
走行動画です。
ポチっといていただけたら嬉しいです(~^^ゞ。
by piyopiyodesu | 2012-09-27 07:46 | ロードバイク ロング | Comments(5)
中学生の子の、「ジャニーズの若手が写真撮影に来るそうで、見に来たけど場所が違ったようだ」っていう理由が微笑ましい(笑)
ヒッチハイクは、ぼくも、やってみたかったので、勉強になりました~♪
銭湯や温泉を見かけたら入るつもりでいましたが、四国にはありませんでした(^^ゞ。
帰りの宇高国道フェリーのお風呂に入りましたが、石鹸がなかったのでお湯で流しただけです(^^ゞ。
電車に乗るのが憚られるほど臭かったので、隅っこでおとなしくしてました(^^ゞ。