初めてのアイスクライミング
Nさんは、ボクが山登りとロードバイクを始めるきっかけを作ってくれた恩人なんです。
昨年11月には、一緒にびわいち(琵琶湖1周)もしました。
湯川っていう小さな谷川なんですけど、両岸が崖になっていて、そこからしみ出した水が凍るようです。
この辺は積雪量は多くないけど気温が低い地域だそうで、つい先日は-25度まで下がったそうです。
冬でも比較的温暖な兵庫県南部地方の加古川市に住むボクには、全く想像すらできない気温です。
冷蔵庫の冷凍室の中の方がよっぽど暖かいですね。
雪山に登った時に、-15度までは経験したことがありますが、さらに10度も低いなんて・・・・。
林道の路肩に駐車して、装備を持って河原まで降りてみました。
この辺の氷は薄くて登るには難しそうですね。
厚みがあってカチンコチンな氷は青っぽく見えるのでブルーアイスと呼ばれます。
2人ともアイスクライミングに関してはまだ初心者、って言うか、ボクは今日が初めてなので(^^ゞ、Nさんが適当な場所を選んでくれて、そこで練習しました。
ここです。
この氷壁の右下部分の、高さで言うと5~6mぐらいの所にアイススクリューでアンカーを設置して、足を滑らせても絶対落ちないトップロープで繰り返し繰り返し練習しました。
なかなか一般の方は、こういうのを見る機会がないでしょ?(ボクも一般人なんですけどね(^^ゞ)
よくまあこんな危険なことをするもんだと思われる方が殆どでしょうが、危険な遊びを装備を使いこなすことによっていかに安全に楽しむかというのが醍醐味の一つでもあるんですよ。
装備の安全性と信頼性はどんどん進歩していて、適正な場所で適正な使い方をすれば、ほぼ確実に安全なクライミングが楽しめるんです・・・とボクは思います。
事故が起きる時というのは、器具の使い方を誤ったり、使うべき器具を使ってなかったり、油断や慢心があったりと、人の過失によって起こるべくして起きるのだと思っています。
文章だけでは理解しがたいと思いますが、危険な行為を安全に楽しむためにどういう方法で登るのかを書いてみますね。
上に書いたトップロープというのは、登りたい壁の上部にロープを通すためのアンカー(絶対信頼できる固定源)を設置して、そこから二つ折りにしたロープを垂らして、一方の端をクライマーのハーネス(安全ベルト)に結び、もう一方側を下で待機する相棒(ビレイヤーと言います、命綱をセットすることをビレイをとると言います)が支える登り方です。
万一クライマーが足を滑らせても、上からロープで吊られているわけですから、ほとんど落下することはありません。
下でロープを支えるビレイヤーは、手でロープを支えるのではなく、自分のハーネス(安全ベルト)に固定した確保器と呼ばれる頑丈なロープを止める器具にロープを通して支えるので、ビレイヤーがうっかり手を放しても、転んでも、クライマーが落下することはないんです。
アンカーを設置するためには、安全な迂回路を登るか、数mおきにランニングビレイと呼ばれるビレイポイント(命綱を設置するための小アンカー)を設置しながら直で登ることになります。
ランニングビレイをとりながらクライミング中に落下した場合は、最後のランニングビレイ点から登った距離の2倍だけ落下して、ランニングビレイにぶら下がるような格好になります。
はじめは、ボクが氷壁の上の木が生えているところまで迂回路を登って、木をアンカーにしたかったのですが、その木のところまで登る途中に一箇所だけ危険な場所があって、登れませんでした。
写真で見たらどおってことないんですけど、このほんの1mほどの段差を超えるのに、ビレイ(命綱)無しでは命がけだと思いました。
茶色い土の部分もカチンコチンに凍っていて、下がすぐ岩なのでアイスバイルも刺さらないんです。
もし足を滑らせたら、氷の上を滑って15mぐらい下の川まで絶対止まらないでしょう。
死ぬことはないだろうけど、アイゼンを引っかけて骨折かひどい捻挫は避けられないと思いましたね。
しばらく思案した後、結局、危険と判断して引き返しました。
1日練習した後だったら、たぶん登っていたと思いますけどね(^^ゞ。
案外慎重な自分に安心しました。
しょうがないので、ランニングビレイをとりながらアンカーを設置する場所まで登ることにしました。
ランニングビレイを取りながら、アンカーを設置するために最初のクライミングをするNさん。
これがアイススクリュー。
ヘッドを持って氷にねじ込みます。
氷がガリガリ削れて簡単に入っていきます。
手を放しても落ちないぐらい入ったら、ハンドルをグリグリ回転させると、おもしろいように入っていきます。
削られた氷はスクリューの中心の穴から排出されます。
それを集めてシロップをかけたらおいしいかき氷ができるかなぁ?
完全にねじこんだら
通称ヌンチャク(正式にはクイックドロー)と呼ばれる器具を掛けて
そこにロープを通して登っていきます。
ロープの末端はNさんのハーネス(安全ベルト)に、絶対ほどけないように結んであります。
下ではビレイヤーであるボクがロープのもう片方側を持って、万一Nさんが落ちても、落下距離が最短になるようにします。
ロープはただ手で持つのではなく、うっかりボクが手を放しても大丈夫なように、確保器を通しています。
そうしてNさんが設置してくれたアンカーがこれです。
硬いブルーアイスにアイススクリューがしっかりねじ込んであれば、大人2人ががんがん引っ張ってもびくともしませんが、念のためにスクリューを2本使って力が分散するようにしてあります。
両手にアイスバイルとかアイスアックスと呼ばれるこんなのを持って、カマキリ男になるんです。
コツがわかれば、アイスバイルの自重を生かしてひょいと振っただけで、簡単に氷に刺さりますが、振り方が悪いと硬い氷に跳ね返されて刺さりません。
2cmも刺されば大人がぶら下がっても大丈夫なぐらいです。
それ以上深く刺してしまうと、抜くのに困るぐらいです。
靴の底にはアイス用のアイゼンを装着してます。
登っている最中に外れたら悲惨なので(トップロープならそこから下ろしてもらえばいいだけなんですけどね)、しっかり固定してあります。
クライミング用のロープやこういった専用器具は、細い紐状のものでも静止荷重で2t以上の強度があるので、人が一人ぶら下がるぐらいでは絶対切れません。
車だって吊りあげられるぐらいですからね。
事故が起きる時っていうのは、全て人間が操作や使い方を誤まった時なんだと思います。
他にも何人かクライミングに来ていましたが、クライミング初心者のボクが見ても、ちょっと心配になるような人が何人かいました。
登るにつれてコツを掴んで、どんどん上達していったボク(^^)v。
美しい氷の造形。
さまざまな形の氷壁があるので、一本のロープでも少しコースを左右にふれば、いろんな変化のあるルートを登って練習できました。
ゲップが出るぐらいクライミングを堪能した後は、近くの温泉(名前忘れた)で疲れをとってから今夜の宿に移動しました。
料理が無茶苦茶美味しいと耳にタコができるぐらいNさんから聞かされていました。
たしかに美味しく、とってもいい雰囲気の居心地のいいペンションでした。
部屋のトイレに入ったら、自動的に便座のフタが開くのに感動しました(^^ゞ。
後編へ続く
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by piyopiyodesu | 2012-02-13 22:23 | アイスクライミング | Comments(4)
男の子の憧れですよねぇ~
私、自転車は、ある意味現実逃避だと思っています。
山もある意味現実逃避かもしれませんね。
播州の景色と全く違う環境に置かれれば
心の洗濯が出来るってもんですね。
よく言われるんです(^^ゞ。
探検、いいですね。
家から出れば全て探検!こんな気持ちで全てのことを楽しい思い出にしていきたいと、いつも思っています。